月刊サイクルビジネス
12年間務めてきた(株)シマノの島野喜三氏に代わり(社)自転車協会の新理事長に就任したのはブリヂストンサイクル(株)の渡辺恵次会長であった。過去にも理事長の任期が近づく度にいろいろな噂が囁かれてきたが、「阿吽の呼吸」でスムーズにバトンタッチが行なわれたようだ。新理事長に今後のビジョンなどを語っていただいた。
パナソニックサイクルテック(株)は6月27日に定時株主総会、取締役会・監査役会を開催し、役員を選任、それぞれ就任した。代表取締役社長は引き続き梶川陽二氏が務めるが、取締役副社長(品質・技術担当)に小黒秀祐氏が就任。同氏はパナソニックエナジー社の出身で長年、リチウムイオン電池の研究開発に携わってきた。梶川社長もパナソニックグループの乾電池事業部門で要職を務めた後にパナソニックサイクルテックに入社しており、電池のエキスパート2人が経営トップに就いた恰好だ。また、小黒氏は有力な次期社長候補の1人といえよう。一方、専務取締役として長年同社の営業部門を牽引してきた平林政彦氏は常勤監査役に就任。営業部門についてはしばらく社長が直轄することになるという。
中国・台湾における“世界の自転車生産基地”のポジション確立によってメーカーが商社化し、これまで貿易業で輪界を支えてきた専門商社との色分けは曖昧になっている。既に有名ブランドとプライベートブランドの垣根が取り払われ、自社開発で育ったオリジナルブランドの製品が有名ブランド化するなど発想次第で市場に食い込むことも可能になった。ただ、“確実に売れる商品”がない混沌とした市場においては一歩先の時代を捉える眼力と具現化する企画力が勝敗を左右する。さらに一時期的なヒットからロングライフ商品に繋げるには経験や知識が不可欠で、それらを有する商社が活躍するフィールドは以前よりも広がったという見方もできる。それぞれの強みを全面に出して独自性を発揮する商社の動きを追った。
典型的な郊外型量販市場である北関東地方でも昨今、激安戦略ではモノが売れなくなった。安かろう悪かろうの商品は敬遠され、逆に量販店舗でも2万円前後の付加価値商品の人気が高い。一方の業販店では手堅い需要の通学車が学校規制の緩和によって手頃な価格が主力になりつつある。価格の二極化から一転、業・量販それぞれの距離が近づきつつある状況下で、これまでとは違う販売戦略が求められている。消費者マインドとともに変わりつつある市場の動向を追った。